仕込み杖

 正倉院には「杖刀(じょうとう)」と呼ばれる、杖の外観を模した拵え(外装)に刀身を収める直刀が2口(呉竹鞘御杖刀、漆塗鞘御杖刀)保管されています。 伊藤博文廃刀令発布以後は兼定作の脇差を仕込み杖に拵え直して携帯しており、満州ハルビン駅で暗殺された際にも、この仕込み杖を携帯していました。仕込み刀はネットで数万円から手に入ります。

 「仕込み銃」(Cane gun、杖銃とも)としては、アメリカのレミントン社が1860(万延元)年代に発売した、犬の頭を模した杖頭を持つ杖に0.32口径(8.12mm)のリムファイア弾を使用する単発銃の機構を内蔵したものが有名です。

 例の爺さんの述懐
 「戦後、俺の通ってた田舎の中学の校長先生が、手許が丸い握りのハイカラなステッキを持ってたんだな。或雨の日、彼が校舎を出るとき、其ステッキを一振りすると、どうだ、蝙蝠傘が出るのよ。魂消たな。其娘が同級生だったので、後年、『お前のお父っつぁんが亡くなったら、俺、あのステッキが欲しいな』と言ったら『良いわよ』と言ってくれたんだがね、未だ呉れないんだよな」。淡い恋も不発って事で・・・