色情を抱きて

 「色情を抱きて女を見る者は~」と言う言葉が有りますが、此伝で行くと私は幾つの目を刳り抜いても足りないでしょう。何しろ貝原益軒の母の教えを「ご尤も」と肯定する人間だからです。男女は好き合う様に出来上がって居るものですから、余りに厳しい規律を課せば偽善者を製造する以外のメリットは無いでしょう。己の属する社会の中で程々に規(のり)に従うのが最も人間らしい適応でしょう。軽度の出歯亀はご愛敬ですが、暴力を伴うストーカーは重罪です。


 ともあれ、小説の題材に、恋愛は勿論、情愛に関するテーマが断然多いのは、人の生活に愛情の有り様が如何に深く関わっているかを「物語っている」と思います。