天女の羽衣

 或日、生協の駐車場にクルマを止めて車外に出た瞬間、利き目・左目の視野一杯に茶緑色の天女の羽衣が舞った。30分後に其れは無数の水滴に変わり2時間後にはやっと視認出来る位の微小な黒点のベールで全視野を覆った。視力に異常は無い。次の日の午後4時半に目医者に行ったら「馬蹄形状上方網膜裂孔」別名・網膜剥離の前段階で絶好のタイミング、もう1日遅れたら網膜剥離の危険が有ったと妙に嬉しそうな口調で言い即座にレーザー照射で裂孔周囲の点々焼灼、健保の2割支払いでも無条件で5万円取られた。老人性の疾病と言う。
 私の利き目は左でカメラのファインダーは左目で見るので市販のカメラ等は操作に甚だ不便である。中学で遣った陸上の高跳びでも利き足は他の生徒とは逆の右脚だった。今でも練習をしなくともボールを左手で結構投げれるし、生まれた時は左利きだった様だが、矯正された記憶も無く、物心付いた時は右利きだったから矯正が有ったとしても相当に早い時期だったのだろう。幼児期の早い時期の記憶が殆ど全く無いのは其為に抑制が掛かって居るのかも知れない。催眠術を掛けられれば詳細は判明するだろうが、別に分析を受け度いとは思わない。
 タイミングと言えば私は少しでも異常を感じたら病院へ行く主義である。何十年か前に歯に冷水が沁みるので歯医者に行ったら初期の齲歯が有り即座に詰め物をして30年位して其れが取れたので又歯医者に行き遣り直し、以来現在迄保って居る。又、10年位前に奥歯に冷水が沁みるので歯医者に行ったら親不知の齲歯で抜いて見たら針程の孔に関わらず中が可成り腐って居り、放って置くと凄い歯痛に悩まされる所だった。親不知は3本共抜いて1本は歯茎に隠れた侭、28本の歯は全て健康で異常は無かったが、数年前に上前歯左第1歯の根が化膿して落ちて仕舞った。