日本最古級の貨車


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日本最古級の貨車、解体の危機を乗り越え“里帰り” 三重・いなべ市貨物鉄道博物館」に収蔵

2017年11月28日 9時27分 産経新聞

 明治時代に関西(かんせい)鉄道四日市工場で作られた鉄製の有蓋貨車が、三重県いなべ市大安町NPO法人貨物鉄道博物館」に収蔵された。

 茨城県関東鉄道竜ケ崎駅の車庫で長年倉庫として使われ、8月末に解体予定だったところ、「日本最古級の貴重な車両を保存したい」と強く願う人々の思いと偶然が1世紀ぶりの“里帰り”を実現した。

 同NPOの理事を務める三重県四日市市八千代台建築士、南野哲志さん(46)は、以前からこの貨車の存在に注目していたが、「いつどうなるかまでは知らなかった」。今年8月初め、市立博物館(同市安島)で開かれていた企画展「メイド・イン・ヨッカイチ」で偶然、この貨車の写真を見つけた。説明文には「8月末に解体予定」と書かれていた。

 「三重に戻すなら今だ」。NPOを通して正式に関東鉄道へ譲渡を申し出て、快諾された。NPOのスタッフが竜ケ崎駅へ調査に赴くなど奔走し9月下旬、茨城から三重へトレーラーで運ばれた。

 南野さんによると、この貨車は四日市に本社を置いた私鉄・関西鉄道の工場(現在のJR四日市駅東側付近)で明治33(1900)年に製造されたもの。車輪やブレーキ装置は失われているが、国内で現存する鉄道貨車の中では最も古い可能性があるという。

 車体には100%外国製の鋼材を使ったことを示す刻印が残っている。戦時中の金属供出を免れ、廃車後も倉庫として存続。朽ちるほどは錆びておらず輸送にも耐えた。南野さんは「昔の状態を残しつつ、どのように修復するかが課題」と話す。

 企画展で貨車が解体されることを記した四日市市立博物館の学芸員、廣瀬毅さんは「誰かが気付いてよい方向に動けばと願いを込めた。残ってよかった」と声を弾ませた。

 貨物鉄道博物館の開館は毎月第1日曜。入館無料。問い合わせは三岐鉄道内の同博物館事務局(電話 059-364-2141)へ。