ヴォイニッチ手稿


未知の言語と不思議な挿絵から成るこの書物は、長年「謎の奇書」として世界中の関心を集めてきた。多くの研究者がその解読に挑み、そして挫折してきたが、最近ロシアの地で、新たな研究結果が発表された。

そもそも、ヴォイニッチ手稿とは何か。

羊皮紙で作られた約240ページのこの写本は、アルファベットにも似た、しかしそれとは明らかに異なる文字で記されている。至る所に、多くの着色された挿絵が有るのも特徴だ。植物らしき精密な図版や、裸の女性たち、そしてどこか不気味な幾何学模様といったイラストが、ミステリアスなムードを高めている。

米アリゾナ大学の研究では、錬金術に耽溺したルドルフ2世の蔵書だったことがわかっている。紆余曲折を経て、1912年にポーランド出身蒐書家ウィルフリッド・ヴォイニッチのコレクションに入り、以後「ヴォイニッチ手稿」という名で呼ばれるようになった。

少なくとも文字部分については、何らかの法則性に基づいている、との研究結果も提示されている。

そんな中、2017年4月23日(現地時間)、ロシアの通信社「スプートニク」(ウェブ版)が、ロシアの研究チームがヴォイニッチ手稿について、新たな発見に成功したと報じた。

モスクワのケルディシュ応用数学研究所のチームが見つけたという解読では、正体は英語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、そして幾らかのラテン語を混合したものだったというのだ。

これまでにも何人もの研究者が「解読に成功した!」と主張してきたが、広く認められるには至っておらず、今回のロシアの研究も其点では未知数だ。

スプートニクの取材に対し、研究チームの一人はヴォイニッチ手稿の内容について、「阿片を採取するためには、ケシをいつ植えるのがいいのか」というようなテーマが扱われている、との見解を示した。はたして全容解明の時は来るのか。
https://www.j-cast.com/2017/05/05296823.html?p=all から