九五式軽戦車


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「九五式軽戦車」国内保存目指す…寄付呼びかけ 2018年6月2日20時51分
 旧日本陸軍の主力兵器で、国内で展示された後、海外に売却された「九五式軽戦車」について、静岡県御殿場市NPO法人が「当時の日本の技術を示す遺産だ」として、買い戻して国内保存を目指す活動をしている。
 戦車は現在、欧州で修復作業が続けられているが、当時のエンジンが残されたままで価値も高いという。
 このNPOは、「防衛技術博物館を創る会」。陸上自衛隊東富士演習場がある同市で自動車整備会社を営む小林雅彦さん(48)が設立し、役員には市戦没者遺族会幹部らが名を連ねる。すでに旧日本陸軍の四輪駆動車を修復して管理するほか、海外の軍用車をホビーショーなどに出展する活動もしている。
 九五式軽戦車は1930年代に開発され、終戦までに2370両余りが生産された。買い戻す予定の車両は、81年にミクロネシアのポナペ島(現ポンペイ島)から日本に送られ、「零パーク」(和歌山県白浜町)などで展示されていた戦車。同施設の閉鎖に伴い、2004年に軍事コレクターの英国人男性が買い取り、ポーランドで修復が続けられている。
 小林さんは、英国人男性とメールでやりとりして、修復のための文献探しなどに協力してきた。その英国人男性が、九五式軽戦車の売却を検討しているという知らせが昨年届いたという。
 希望価格は、10年以上に及ぶ修復費用などを考慮し、約65万ポンド(約1億円)。小林さんは1月から知人らに声をかけて約900万円を集めたほか、9月までを目標に1口10万円の寄付を募っている。購入契約後、英国の戦車博物館で一時展示してもらった後、日本に移すという。交渉が不調に終わった場合、希望者には返金する。
 修復は完了間近だが、小林さんが3月にポーランドの工場で確認したところ、ディーゼルエンジンの燃料噴射ポンプが修復不能だった。ポンプがあれば戦車は走行可能になるという。
 小林さんは1943年の陸軍機甲整備学校の教程を参考に、当時のポンプは三菱A型か同E型、新潟AL型、神鋼L―五型と推定。「遺品や骨董品として持っている人がいるのでは」と、代替品を探している。

 家族が零パークの代表だった大阪市の新藤聖豪さん(64)は、「我々は手放してしまったが、日本に返ってくるならうれしい。平和の大切さが感じられるような展示に利用してほしい」と期待を込める。戦車に詳しい模型メーカー「タミヤ」(静岡市)の田宮俊作社長(83)は「いかに悲惨な戦いだったか知るためにも戦車を保存して残すべきだ」と指摘している。
 寄付や燃料噴射ポンプに関する問い合わせは、小林さんのメール(m.koba@k-m-d.co.jp)へ。