出生率

 昔は子供は一家の貴重な労働力でしたし、産制の思想も知識も有りませんでしたし、適当に生まれ出た丈の中で生き残ったのが大きく育ちました。今は相当な障害を持って誕生しても直ぐには死にません。善し悪しは判りません。昔は多産女も居れば石女も天性であって、其面では甚だ不公平でしたが今の態様と比べての得失は判りません。序で乍ら、男女生み分けに努力する人が多いにも関わらず、世界中で誕生する男女の比率は男が僅かに多いけれど、其れが女児より高い死亡率と丁度釣り合って居るらしいのですね。自然の妙には感じ入る外は有りません。
 20世紀も終わった此頃では出生率で騒いで居ますが、例の爺さんの父が生まれた時代には子供は産まれるに任せ、数の中から運良く生き残ったのが成人すると言うのが普通でした。少なく生んで大事に育てるのか、自然に任せるのか、種の保存丈で云うなら勿論、後者の方が有利に決まってるでしょうね。例えばアフリカの一部の重症貧血を伴い勝ちな鎌型赤血球症患者がマラリアには強いと謂う様に、特定地域丈で見れば優性遺伝とされる遺伝病も有ります。 
 カトリックでない日本でも昔から堕胎が罪だったのは自然に従うのが理に叶うからだったんでしょう。勿論、凶作に見舞われた戦前の東北では昔から普通に「間引き」が行われましたが。又、何処の土地でも多少頭の鈍い「お客さん」は大事にされる習慣も有りました。亜細亜の或地域では「お客さん」は神様扱いです。