便漏れ

 ユニ・チャーム(東京)は「成人の5人に1人に便漏れ経験がある」との調査結果を発表し、軽い便漏れに自分で対処できる専用パッドを初めて商品化、5月からネット販売を始めた。医療分野では3月に標準的な治療の進め方を定めた「便失禁診療ガイドライン」が出来上がり、治療法選択の幅も広がってきた。

 ユニ・チャームが2月、20~79歳の男女2万人を対象にネットを通じて行った調査では「最近6カ月以内に便もれを経験したか」(下着への少量の便付着を含む)との問いに「ある」と答えた人は19.6%だった。経験者を男女別にみると男性22.7%、女性が16.5%。年代では20~330代が21.3%、40~50代が19.3%、60~70代が18.4%で、男性や若年層でも多いという結果だった。

 便失禁に詳しい「みぶ博多駅前クリニック」(福岡市)の壬生隆一院長によると、便が漏れる病因は(1)加齢による括約筋の衰え(2)出産時の括約筋や神経損傷(3)直腸がん手術の影響-が多い。ただこうした原因に心当たりがない若い人や働き盛りの世代でも、ストレスなどで便通異常を繰り返す過敏性腸症候群(IBS)などが便漏れにつながる可能性があるという。しかも症状が比較的軽い場合は、病院を受診する人が少ないので実態把握は難しい。

 治療は比較的軽度の症状なら、便の硬さを調節する飲み薬、肛門周りの筋肉をうまく使えるようにする骨盤底筋体操などで、大半が改善できるという。2014年には新たに、骨盤内の神経を電気刺激する「仙骨神経刺激療法」の保険適用も始まり、高い効果が期待されている。

 「恥ずかしい」「病院に行くほどでもない」と思いがちな「便漏れ」。壬生院長は「便漏れは放っておいて治るものではない。適切な診察と治療で完治できる」と、早期の治療を促している。

 ▼介護用でなく自分でケアする人向けの便漏れパッドは日本で初めてという。臭いの原因成分を吸収する構造で消臭に特化、直径13cmの小型パッドを下着の汚れが気になる部分へ装着し、汚れをカバーする。希望小売価格は10枚で498円。問い合わせ=0120-041062

=2017/06/17付 西日本新聞朝刊=
http://news.livedoor.com/article/detail/13215590/