ビーズバッグ


https://www.j-cast.com/2017/06/01299260.html?p=all から
捨てないで!消えゆくビーズバッグ 「もはや貴重な文化財
2017/6/ 1 12:56

レトロなイメージのあるビーズバッグが、ここに来て注目を浴びている。きっかけは、2017年5月28日、ツイッターに投稿された「昭和に流行ったビーズバッグ。持っている人は捨てちゃダメだよ。要らないと思ったら誰かに譲って(中略)作る人がもういない。最早消えるのみだから」という呟きだ。タンスの奥に眠っていそうなビーズバッグは、そんなに貴重なものなのか。J-CASTニュースは専門家に話を聞いてみた。

このツイートは、30日13時段階で6万1000件以上リツイートされ、別のユーザーが投稿した「国立民族学博物館の池谷和信先生が『捨てるなら、みんぱく民博に送ってください!もはや貴重な文化財なんです』と言われました」といった趣旨のツイートも拡散。
「このビーズバッグは祖母から母に、母から私にと受け継ぎました。ツイートを拝見し、これまで以上に大事にしていこうと思いました。ありがとうございました」「押入れを探せばビーズバッグがいくつもあるはずです。当時、そこのおばちゃんからよくもらってたので。ありふれたもので有り難みを全く感じていませんでしたが、今となっては大変貴重なものですね。大切にします」 「親から押しつけられたビーズバッグ危うく捨てるところだった」 「最高に可愛いビーズバッグ持ってるから自慢させて」など、写真付きでマイ・ビーズバッグを紹介するツイートも多く、熱はさらに加速している。調べてみると、現在、日本製のビーズバッグを製造できるのは、平田袋物工芸(東京都台東区)などごくわずかな状況を見ると「消えゆくのみ」という呟きも「おどし」ではないことがわかる。

一時はトレンドワード入りまでした「ビーズバッグ」は、どれほど貴重なのか――。2017年6月6日まで、「開館40周年記念特別展『ビーズ―つなぐ・かざる・みせる』」で、ビーズバッグを展示中の「国立民族学博物館」(大阪府吹田市)、人類文明誌研究部、池谷和信教授に話を聞いた。
「作る職人が減っているのも勿論大切な問題ですが、私が伝えたいのは、和製ビーズバッグの文化的な価値です。実は日本の本州以南では古墳時代の後にビーズ文化はいったん終わっているんです。戦後~高度経済成長期に流行ったビーズバッグや小物は、日本では久しぶりの『ビーズブーム』だったわけです。日本のビーズ史としては大変なインパクトでした」。池谷氏によれば、ビーズの定義は、玉と玉をつなげたものだ。古墳時代は、翡翠や玉と呼ばれる「数珠つなぎ」のビーズ文化だった。言うなれば「線」のデザインだったが、昭和にはバッグに飾り付け彩るようになり「面」のデザインに変わった。

「ビーズで画を作るというのは非常に技術が要ります。しかも日本では『植物』や『蝶』など生き物を好んで取り入れてきました。高度なものになると、葉の葉脈ごとに色を変えたり、羽ばたく羽根の躍動感も、一つ一つビーズで表現したりしています。これは世界でも珍しいことです」。元々ビーズバッグはヨーロッパから入ってきた文化だが、ヨーロッパでは日本ほどデザインが多様化していないそうだ。「ヨーロッパや中東でもビーズは装飾に使われていますが、布に縫い付けるというのが殆どです。ですが日本は着物でビーズとの相性は好くなく、小物を通して『面』のビーズデザインが広がりました。着物と合わせて持つというのも特徴ですよね」

今回の「ビーズバッグ熱」で、博物館にも沢山問い合わせが来ている中で「引き取ってくれるのか」という質問が多いようだが、これについては「写真等物の形がわかるものと情報をお送りいただき、受入の可否を判断しています。今回のビーズバッグについても同様で、状態が良い場合には博物館で保管します」と。